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※手術の写真を掲載しておりますので、
苦手な方はご注意ください。

犬のチェリーアイ
●概要
チェリーアイとは、第三眼瞼(瞬膜)の基部にある涙腺(第三眼瞼腺)が、正常な位置から飛び出して見える状態を指します。
第三眼瞼は眼の内側(鼻側)にある半月状の膜で、目を保護し、涙液を分泌する役割を持っています。
この中にある第三眼瞼腺が、腺を眼窩内に固定している組織の脆弱化や欠損などで外に飛び出し、赤く丸い腫瘤状のふくらみとして見えるのが特徴です。
チェリーアイの原因の多くは遺伝と言われていますが、稀に炎症や外傷によっても発症することがあります。
そのため、腫瘍や感染症など他疾患との鑑別も重要です。

●症状
•目頭付近に赤く丸いふくらみが生じる(これがサクランボのように見えるためチェリーアイと呼ばれるます)
•片目に起こることが多いが、両目に発生する場合もある
•目の充血
•目やに、涙の増加
•目をこすったり、しょぼつかせる
•長期化すると涙腺機能が低下し、ドライアイ(乾性角結膜炎)を引き起こすリスクがある

●好発犬種
発症のしやすさには犬種特異性があるため、遺伝的要因があると考えられています。特に以下で多く見られます。

•ブルドック
•ビーグル
•アメリカン・コッカー・スパニエル
•ペキニーズ
•ラサ•アプソ

●治療法
①内科的療法(保存療法)
一時的に腫れや炎症を抑えるために点眼薬(抗炎症薬・抗菌薬)を使用することがあります。しかし、保存療法のみでは再発率が高く、根本治療にはなりません。

② 外科的療法(手術)
基本的には第三眼瞼腺を温存しつつ元の位置に戻す「腺固定術」が第一選択です。
第三眼瞼腺は涙液の約30〜50%を分泌するため、切除すると涙の分泌量が大きく減ってしまい乾性角結膜炎(ドライアイ)のリスクが大幅に上昇するため、腺の切除は現在では原則避けられます。
ただし、腫瘍化や重度の慢性炎症など特殊な場合に限り、腺の切除が検討されることがあります。

腺固定術の代表的な術式は以下です。
•ポケット法(腺を包み込むように結膜を縫合して収納する方法)
•アンカリング法(腺を瞬膜の軟骨や周囲組織に固定する方法)

以下はアンカリング法で手術を行なった症例です。

↑手術前です。第三眼瞼腺が逸脱し、表に飛び出ています。
↑第三眼瞼を裏返した様子です。この症例では、第三眼瞼腺を支持する「T字軟骨」という組織の一部が欠損していました。
↑手術中の様子です。第三眼瞼腺と周囲組織に糸をかけています。
↑第三眼瞼腺を周囲組織と縫い合わせ、元の位置に戻しました。
↑手術直後の様子です。逸脱していた第三眼瞼腺が元の位置に戻っています。(緑矢印部分)
●術後の過ごし方
術後は抗菌剤やNSAIDsの点眼と、エリザベスカラーの着用を一週間程度続けていただきます。

●手術予後
手術後は良好に経過する子が多いです。
ただし再発の可能性はあり、同じ目や反対側の目にも発症することがあります。
また、術後は一時的に炎症や充血が続くことがありますが、数週間で改善することが多いです。

●まとめ
チェリーアイは見た目のインパクトが強いですが、早期発見・早期治療で視覚や生活の質に大きな影響を残さずに改善できます。
ただし、放置するとドライアイや角膜障害など二次的な問題が起こるため、早めの受診と手術が重要です。
気になる症状がございましたら、いつでもお気軽にご相談ください。

執筆担当:獣医師 矢口